国や業種を超えた企業間の競争が激しくなる昨今、需要が高まっている「金融コンサルタント」に転職を検討する人が増えています。一方、金融コンサルティング業界は専門性が高く、業務の責任なども大きいため「未経験からでも転職できるのか?」と不安に思っている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、金融コンサルティングの基礎知識と転職のポイントについて解説します。
<目次>
1.金融コンサルティングとは?
2.転職時に知っておきたい金融コンサルティング会社の年収相場
3.金融コンサルティング会社に転職するメリット
4.金融コンサルティング会社に転職する方法
5.金融コンサルティング会社への転職でよくある質問
6.金融コンサルティングの転職は計画性が大切
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1.金融コンサルティングとは?
金融コンサルティングは、主に企業における「資金」や「資産」に関連する活動の改善などの支援を指します。クライアントとなる企業の業種よっても大別することができ、銀行や証券・保険会社などの「金融機関」とそれ以外の「非金融機関企業」でコンサルティング内容の大枠が異なることも覚えておきましょう。
金融コンサルティングの定義と具体的な支援内容のほか、しばしば混同される財務コンサルティングとの違いも解説します。
金融コンサルティングの定義
金融コンサルティングの「金融」とは、一般的に資金に余裕がある人から必要な人にお金を融通する仕組みを意味します。企業が事業を継続するうえで金融は重要なキーワードです。例えば、金融新規事業・会社設立時などに必要なお金を調達する「資金調達」、資産を運用して利益を確保する「資産運用」、さらに経営強化・事業拡大などを目的とした「企業買収(M&A)」や「資本提携」など、さまざまな企業が自社の抱える課題や掲げる目標の達成のために、金融機関などを介してお金の橋渡しをする、もしくは受ける必要があるのです。また、個人における金融と差別化するために金融コンサルティングにおける金融のことを「企業金融」と称することもあります。
金融コンサルティングの役割は、クライアント企業の要望の達成や課題解決のために上記のような様々な金融を活用したサポートを行うことです。一般的な企業(非金融機関)のクライアントの場合は資金戦略の検討、立案のほか、金融に関する業務プロセスの改善などを担い、特に資金調達をめぐる課題解決などを図ることが多いです。また、金融における橋渡し渡し役となる大手金融機関向けには、経営戦略策定やビジネスプロセス・リエンジニアリング(業務改革)の企画、さらにM&Aに伴う業務統合を支援するケースもあります。
近年は、デジタル化の促進や数多くの市場のグローバル化によって、従来の業種を超えた企業との連携、競合が増えています。金融機関、非金融機関を問わず、クライアントの発展につながる支援・提案を行うのが、金融コンサルティングの大きな役割といえるでしょう。
財務コンサルティングや会計コンサルティングとの違い
金融コンサルティングは、企業活動とお金をめぐる領域を支援する性質上、しばしば「財務コンサルティング(財政コンサルティング)」や「会計コンサルティング」と混同されることがあります。特に金融コンサルティングと財務コンサルティングは並列されるケースが多く、実際、両者の定義や業務内容に大きな違いはありません。むしろ両コンサルタントの専門分野によって業務内容が異なるケースが一般的です。
例えば、FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)やアドバイザリーコンサルタントはM&A支援、企業再生支援、企業価値支援といった財務に特化したコンサルティング業務が中心ですが、金融コンサルティングの範囲にも含まれることが多いです。また、金融機関に対する経営戦略支援を専門としているコンサルティング会社であっても、財務とは切っても切れない関係なので財務コンサルティングと同じであるとも考えらえるでしょう。
一方、会計コンサルティングは会計・経理の業務や領域内に特化した支援を行うのが一般的で、具体的には「会計・経理業務の効率化」、「法規制への対応」といった目的で実施することが多いです。業務範囲だけでも、多岐に渡る経営課題の解決のために金融全般を扱って支援を提案する金融コンサルティング・財務コンサルティングとは大きく異なることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
2.転職時に知っておきたい金融コンサルティング会社の年収相場
金融コンサルティング会社の年収相場は職位によって大きく異なります。まずは一般的な職位である「アナリスト」、「コンサルタント」、「マネージャー」、「シニアマネージャー」、「パートナー」の大まかな相場を確認してみましょう。
金融コンサルタントの最初のキャリアとなるのが「アナリスト」です。他のコンサルタントと同様、アナリストの業務は情報収集や分析であり、それらを最終的に資料にまとめるまでを担うことが多いです。財務コンサルティングにおいては、有価証券報告書を参考にして財務モデルを作成・分析する企業価値評価(バリュエーション)業務を行うこともあります。一般的に新卒や経験の浅い中途入社の人材が2~5年かけて、コンサルタントになるための職位と考えられています。そのため、基本的には年収相場は他の職位と比べると最も低くなるケースがが多いです。
アナリストからステップアップした職位が「コンサルタント」です。金融コンサルタントの業務は、解決すべき課題の可視化と共有から、仮説の構築、検証までと実作業の大部分を担います。クライアントが漠然とした抱える課題をしっかりと見える化して共有し、検証ために必要な情報や資料制作をアナリストに依頼。さらに都度、マネージャー・シニアマネージャーと協議を重ねて軌道修正などを行うといってアウトプットするのが、コンサルタントの役割です。
マネージャー・シニアマネージャーは、プロジェクト全体のとりまとめと顧客折衝が中心の業務となります。具体的にはプロジェクトの大まかな方針の決定、チームの管理を行う「プロジェクト管理」、クライアントとの報告会の設定、期待値管理などの「顧客折衝」、そしてプロジェクトそのものにおける自社にとって利益の確保を目的とする「予算管理」を通して、プロジェクトでより大きな成果を上げるために活動します。マネージャーやシニアマネージャーの責任や業務量は、コンサルタントよりも重いことが一般的であり、その分、年収相場も高くなります。
パートナーはコンサルティング会社(コンサルティングファーム)の共同経営者のことであり、一般企業で例えると「役員クラス」を意味します。他の職位と異なり、利益を上げればその恩恵に預かることができる一方、経営責任を負うため利益を損失した際は社員と比べるとより大きな責任を取らなければならないケースも十分に考えられます。金融コンサルタントにおける最終キャリアの代表的な職位であり、その年収相場も数千万円クラスとなります。
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3.金融コンサルティング会社に転職するメリット
他のコンサルティング業もしくは他業種から転職して、金融コンサルティング会社に働く3つのメリットを紹介します。
①仕事自体にやりがいを持ちやすい
金融コンサルタントのクライアントの業種や現状、課題などは多種多様でなかにはクライアントの経営者や社員の生活の改善などにプロジェクトの成果が直結するケースもあります。また、コンサルタントという職位であればそのプロジェクトの実務の中心として、他業種ではなかなか味わえない責任とその達成感を味わうことができるでしょう。また、非金融機関の中小企業のクライアントの場合、課題を可視化して目標を共有するところから代表取締役社長と一緒に解決策の立案までを行うことできます。このように経営者目線で職務を遂行できる職業は多くなく、金融コンサルタントならではの面白さといえるでしょう。
②高収入を期待できる
金融コンサルタントは専門性が高く、責任も大きいため年収相場は比較的高めなのも魅力です。20代で中途入社した場合、多くはアナリスト、コンサルタントからのスタートになりますが、いずれも500万円~800万円、700~1,300万円と20代後半~30代では年収相場は高めです。金融コンサルタントは簡単な仕事ではありませんが、「年収アップ」を理由にした転職については、希望を叶えやすい職種といえる可能性があります。
③スキルを身に付けてキャリアアップを目指せる
コンサルタントとして働くことで、幅広いビジネスシーンで役立つロジカルシンキングや課題解決能力、セルフマネジメント・プロジェクトマネジメントスキルを身に着けられるます。さらに金融コンサルタントの専門領域である「(新規)事業戦略の立案」やFintechなどの「最新のデジタル技術の活用」、さらに「リスクやガバナンス」といった金融機関で求められるスキルの獲得も目指せます。そのようなスキルや経験を活かしてコンサルティング業界だけでなく、幅広い業界でキャリアアップを図れるのも大きなメリットといえるでしょう。
4.金融コンサルティング会社に転職する方法
金融コンサルティング会社に転職するには「転職エージェント」を活用するのがおすすめです。他の方法と合わせて活用のポイントを紹介します。
転職エージェントを活用する
金融コンサルティング会社に効率的に転職したいのであれば、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントに登録することで、候補企業の選定から面接日程、さらに選考対策まで転職エージェントのサポートを受けられます。自身のエントリーシートから金融コンサルティング会社で役立つスキルやアピールポイントなどのアドバイスも受けられるので、現職の業務と並行して転職しやすくなるのが大きなメリットといえるでしょう。また、転職エージェントから非公開求人の紹介を受けられるケースもあるので、金融コンサルティング業界に強い転職エージェントの活用をおすすめします。
転職サイトを利用する
転職サイトを利用して金融コンサルティング会社に応募することもできます。金融コンサルティング会社の数はそこまで多くないため、複数の転職サイトを横断して企業を選んでも他の業種と比べると労力は大きくない可能性があります。ただし、やりとりや面接日の設定、選考対策まですべて自身で行わなければなりません。
各社の中途採用サイトから応募する
中途採用サイトから直接応募して転職を目指すこともできるでしょう。採用サイトやエージェントを使っていないコンサルティング会社を見つけられるのがメリットですが、リサーチの手間がかかるほか、大手企業クラスのコンサルティングファームのなかにも中途採用サイトを設けていない会社もあります。転職エージェントや転職サイトと並行しながら、中途採用サイトを探すことをおすすめします。
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5.金融コンサルティング会社への転職でよくある質問
金融コンサルティング会社への転職でよくある4つの質問について紹介します。
①金融コンサルティング会社への転職で、資格があると優遇される?
財務・財政の理解を示す公認会計士や税理士などは、金融コンサルティング業界で求められる一定の能力を示す資格として扱われ、選考で有利になることが多いです。そのほか、中小企業診断士は企業向けのコンサルティングに必要な知識を有しているとして有効に働くことを期待できるでしょう。
②未経験者であっても金融コンサルティング会社への転職は可能?
コンサルティング経験については未経験でも転職できる可能性は十分にあります。一方、金融業界出身者は他業種と比べると優遇される傾向が他のコンサルティング業界よりも強いです。以上からコーポレートファイナンスや企画経験があれば、コンサルティング経験がなくても転職を成功させやすいといえます。ただし、年齢を重ねるごとに未経験での転職は困難になるため、なるべく早めの行動が必要といえるでしょう。
③金融コンサルタントは銀行のコンサルと何が違う?
前述の通り、金融コンサルタントは銀行や証券会社、保険会社などの金融機関向けとそれ以外の非金融機関向けに異なります。「銀行コンサル」とは、金融機関を支援する金融コンサルタントのことであることを覚えておきましょう。金融機関と非金融機関は「金融」における立場が異なるため、当然、提案内容も異なります。
④優良とされる主な金融コンサルティング会社は?
外資系、日系企業はもちろん、大手と中小、得意な領域などでボーナス・賞与や昇給、研修の有無、さらにリモートワークなどの働き方も大きく異なります。金融コンサルティング企業と一括りにするのではなく、まずは自身が転職する理由、原因と金融コンサルティング業界を目指す目的を明らかにしたうえで、福利厚生や年収、業務内容などをどれだけすり合わせて納得して働ける会社を選ぶか「優良会社」を見つけるうえで大切なポイントです。
6.金融コンサルティングの転職は計画性が大切
金融コンサルティング業界は、数ある業界のなかでも専門性が高いのが特徴です。そのため「経歴不問」と書かれていたとしても、しっかりとした事前準備が欠かせません。そのため、転職サービスを活用するのであれば金融コンサルティング業界に知見があり、関りの深い人材紹介会社を利用することをおすすめします。タイグロンパートナーズは、金融コンサルティング業界への転職相談を積極的に行っています。これから転職を検討している方はぜひお問い合わせください。
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