中小企業診断士とコンサルタントの違い|キャリアパスや年収の実態
1.中小企業診断士とコンサルタントの違い
中小企業診断士は経営コンサルタントに必要とされる知識を保有していることを証明する国家資格です。ここでは中小企業診断士とコンサルタントの違いを詳しく説明します。◇定義の違い
中小企業診断士とは、中小企業を対象に経営課題に関する診断や助言を行う専門家のことを指します。「中小企業支援法」に基づく国家資格で、幅広い知識をもとにクライアントである中小企業の現状を分析し、成長を支援することが主な役割です。 中小企業診断士の資格を取得するための試験科目は多岐にわたります。1次試験では「経済学・経済政策」、「財務・会計」、「企業経営理論」、「運営管理(オペレーション・マネジメント)」、「経営法務」、「経営情報システム」、「中小企業経営・中小企業政策」など、マークシート方式の多肢選択式で実施され、2次試験では筆記・口述試験が行われます。そのほかにも実務補習・実務従事が必要です。 このように幅広い知識が求められるため、中小企業診断士の資格を取得することは、経営管理の知識を幅広く持っていることの証明となります。一方で、コンサルタントとはクライアントの経営課題に対し改善策を提案する専門家のことです。コンサルタント業を行うために特定の資格は必要ありませんが、分野によっては専門的な経験や資格が重要とされます。 中小企業診断士の資格を取得した方の中には、中小企業が抱える様々な課題に対して助言を行うため、経営コンサルタントとして独立する人も多くいます。 中小企業診断士とコンサルタントは、業務内容や役割についても違いがあります。中小企業診断士は特に中小企業を対象とし、その経営改善に関するアドバイスを行うことが多いです。中小企業診断士が提供するサービスには、経営計画書の作成支援や補助金申請のサポートも含まれます。 一方、コンサルタントは中小企業だけでなく、大企業や官公庁など幅広いクライアントに対して助言を行うことが多く、特に戦略立案や業務効率化、ITシステムの導入支援なども行います。コンサルタントは、特定の分野における深い専門知識と実務経験が求められることが多く、クライアントのニーズに応じて個別に対応することが特徴です。◇仕事内容の違い
中小企業診断士とコンサルタントの仕事内容は大きく異なる部分もありますが、共通する部分もあります。中小企業診断士は資格保有者であり、企業内診断士として自社のコンサル業務を行うこともあれば、独立して経営コンサルタントとして活動することもあります。 一方で、経営コンサルタントの主な仕事は、企業の抱える課題の抽出、解決策の提案、そしてその実行支援です。中小企業診断士は特に中小企業の経営改善や経営診断書の作成に強みを持ち、専門知識を基にした助言を行うことができます。 また、コンサルタントはプロジェクトベースで働くことが多く、短期間で特定の問題を解決するためのサポートを行います。一方、中小企業診断士は長期的な関係を築き、クライアントと共に成長を目指すことが多いです。このように、コンサルタントと中小企業診断士はアプローチの仕方やクライアントとの関係構築の方法に違いがあります。コンサルタントの仕事とは?やりがいや求められるスキルについて解説
◇年収相場の違い
一般社団法人 中小企業診断協会が行ったアンケートによれば、中小企業診断士の資格を持つ方のうち、年間100日以上コンサル業務を行っている方の平均年収は「501–800万円」が21%で最も多く、次いで「1,001–1,500万円」が15.4%という結果でした。また、1,892名の回答者のうち、独立開業している中小企業診断士は47.8%で、約半数が企業に所属していることが分かります。 コンサルタントの年収は企業規模や役職によって大きく異なりますが、キャリアを積むことで年収1,000万円以上を目指すことも可能です。特に、大手コンサル企業の最上位に位置するパートナーの年収は4,000万円以上となることが一般的です。 中小企業診断士の年収は、その働き方や業務内容によっても変わります。例えば、企業内で働く企業内診断士の場合、企業の給与体系に従うため安定した収入を得られますが、独立してフリーランスとして活動する診断士の場合は、業務の内容やクライアントの数によって大きく収入が変動することがあります。 また、コンサルタントとして独立する場合、クライアントとの契約形態によって報酬が異なることが多く、プロジェクト単位での報酬や月額での顧問契約など、様々な形態が存在します。このため、コンサルタントとしての年収は、自身の営業力やネットワークの広さにも大きく依存することになります。コンサルタントの平均年収は?各役職の水準や年収アップのコツを解説