コンサルタントの仕事とは？｜業務内容と役職別・業界別の基礎知識
コンサルタント（以下コンサル）とは、クライアント企業の抱える課題や困りごとを明確にし、解決のための戦略を立案・提言する専門家です。「コンサルタント（Consultant）」の語源は「Consult」で「相談する」という意味を持ちます。コンサルの業務で成果を出すには高度な知識やスキルが必要です。大きな責任を負う場合もありますが、その分やりがいや達成感のある仕事といえます。
この記事では、コンサルティング業界へ魅力を感じている方へ向けて、コンサルの主な仕事内容をご紹介します。基本的な業務の進め方に加えて役職・業界別の仕事内容なども徹底解説します。
＜目次＞
１．コンサルタントの仕事内容
２．コンサルタントの仕事の進め方
３．【役職別】コンサルタントの仕事内容
４．【業界別】コンサルタントの仕事内容
５．コンサルタントの仕事内容は役職や業界によってさまざま
１．コンサルタントの仕事内容
ここでは、コンサルの仕事の基礎知識について解説します。前提知識として、まずは概要をとらえておきましょう。＜コンサルタントの仕事とは？＞
コンサルの主な業務は、クライアント企業の課題を解決することです。クライアントの抱える問題は多岐にわたり、改善のためには経営・人事・財務などさまざまな分野の専門知識を求められます。コンサルは自身の持つ高い専門性に基づいて効果的な助言を行い、各社の課題を解決に導きます。 コンサルの中にはフリーランスとして活動する人もいますが、基本的にはコンサルティングファーム（以下コンサルファーム）に所属するケースがほとんどです。コンサルを目指すなら、コンサルファームへの就職が第一歩となるでしょう。コンサルタントの仕事とは？やりがいや求められるスキルについて解説
＜コンサルティングファームの主な種類＞
コンサルファームは一般的に以下の5つに大別されます。 ・戦略コンサルティングファーム ・総合コンサルティングファーム ・財務コンサルティングファーム（FAS : Financial Advisory Services） ・DX/ITコンサルティングファーム ・組織人事コンサルティングファーム このほかにも、シンクタンク系・医療系・事業再生系・国内独立系などさまざまな種類があります。また、日系か外資系かによってもカルチャーが異なり、働き方に違いが出るケースも見られます。 コンサルファームによってカバーする領域は異なり、業務内容も多様です。自分がどのようなコンサルになりたいのかを考えた上で、転職先を絞り込むことが求められます。
２．コンサルタントの仕事の進め方
コンサルの具体的な仕事内容をイメージするために、業務の流れを確認してみましょう。ここでは、一般的なコンサルの仕事の手順を解説します。Step1. クライアント企業の現状分析と課題把握
クライアント企業の持つ理想の姿を明確にするために、与えられたテーマに沿って現状分析を行います。分析の方法はさまざまです。例えば、新たな事業展開を検討しているクライアントから依頼を受けた場合、経済のトレンドや業界の動きなど、マクロなデータの分析を実施することがあります。 加えて、組織内部の状況を見極めるため、経営層や各部門のリーダー、さらに一般社員へのインタビューを行うケースもあります。多様な階層のメンバーから意見を聞くことで、組織の可能性や潜在的なボトルネックを明らかにしやすくなるためです。 現状把握が完了したら、クライアント企業と改めて意見をすり合わせます。改めてコンサルティングの目的を明確化し、目指すべき方向を確認することが重要です。Step2. 課題について情報収集する
課題を特定したら、理想と現実の差を埋めるために詳細な情報収集を開始します。例えば、新規事業を展開する場合は、既存の事業についてのデータ収集を行います。売上・顧客満足度・従業員満足度などのほか、現状における人的資源や社員数、営業手法など、幅広い情報を集める必要があります。同業他社や商品についてのデータも必要です。想定されるターゲットのインタビュー・アンケート調査なども行うことがあります。Step3. 大量の情報の中から取捨選択を行う
集めたデータは基本的に膨大な量になるため、情報を精査して必要なものだけを選ぶ作業を行います。取捨選択をスムーズに行う際には、フレームワークを活用することが多くあります。フレームワークとは、思考を整理する際に有効な枠組みのことです。活用することで、クライアント企業の強みと弱みを理解し、論理的なアプローチで情報の選別が可能となるでしょう。Step4. 課題解決のためのビジョンを策定する
得られたデータを基に、課題解決に向けたビジョンを策定します。ここで言うビジョンとは、クライアント企業が目指すべき理想の姿のことです。例えば、新規事業を検討しているクライアントの場合、「顧客ニーズを満たす革新的な商品を提供し、市場シェアを拡大する」というビジョンを掲げます。具体的な理想像を設定しておくことで、チームが一丸となって計画を実行する基盤を築けます。Step5. 課題解決のための具体的な実行支援を行う
クライアントと合意できたら、具体的な実行支援へ移行します。戦略を実行するためにはプロジェクトチームの立ち上げが必要です。クライアントにチームメンバーの選定を依頼しましょう。人員が揃ったらプロジェクトの目標・進行予定・役割分担などを共有します。 チームの立ち上げ後は進捗を見守りながら、目標達成までのサポートを行います。継続的にコミュニケーションを取りながら、円滑なプロジェクトの推進を目指します。そのため、コンサルの仕事ではコミュニケーション能力が必須といえるでしょう。
３．【役職別】コンサルタントの仕事内容
コンサルはプロジェクトを立ち上げてチームで活動するため、複数の役職が存在します。コンサルファームによって使用されている役職名は異なりますが、ここでは一般的なコンサルの役職と、それぞれの特徴や主な仕事内容をご説明します。■アナリスト／アソシエイト
コンサルファーム入社後、初めて就くポジションが「アナリスト」です。「アソシエイト」や「リサーチャー」といわれることもあります。主な業務はデータ収集・分析、資料作成、リサーチなどです。プロジェクトの基礎的な部分を担い、上位職であるコンサルやマネージャーをサポートします。アナリストとして働く期間で、コンサルの基礎的な能力を身につけられるでしょう。■コンサルタント
アナリストとして実績を積むと、「コンサルタント」という役職に昇進できます。中途採用の場合、これまでの経験や取得している資格によってはこのポジションからスタートすることもあります。主な業務はクライアントとのミーティング、問題解決のための提案作成、プロジェクト管理などです。「シニアアナリスト」や「シニアアソシエイト」といわれることもあります。プロジェクトの中核を担い、クライアントに対して具体的な解決策をアドバイスできるようになります。■シニアコンサルタント／マネージャー
「シニアコンサルタント」はプロジェクトのリードがメインに求められます。クライアントへの高品質なソリューション提供に注力します。 「マネージャー」は、特定のアカウントとの関係構築、プロジェクトのマネジメント（QCD）に責任を負います。必要に応じて、新規開拓のための営業サポートを行います。■ディレクター／プリンシパル
「ディレクター」は「プリンシパル」とも呼ばれる役職です。基本的にプロジェクト現場への直接的な関与はせず、コンサルファーム全体の利益向上へつながる業務を担当します。主な業務は業界全体のクライアントとの関係構築、複数プロジェクトの統括やビジネス開発、新規クライアントの獲得などです。ファームの成長戦略を推進するとともに、重要なクライアントとの関係構築を行います。■パートナー
「パートナー」はコンサルファームでもっとも上位の役職とされます。主な業務はファーム全体の経営戦略策定・主要クライアントとの長期的な関係構築・収益管理などです。ファームの経営に直接関わり、全体の方向性を決定できる役員相当のポジションといえます。コンサルを続ければ誰もがパートナーへキャリアアップできるわけではなく、確かな実力や実績および人間的な魅力が必要です。４．【業界別】コンサルタントの仕事内容
転職後のキャリアパスを描く際は、コンサルファームごとの主要な業務内容を把握しておくことが大切です。ここでは、代表的なコンサルファームの種類別に、基本の仕事内容を解説します。【戦略コンサルティングファーム】
戦略系のコンサルファームでは、企業の長期的な成長戦略や競争力強化などを目標としたプロジェクトに携わります。主な業務は経営戦略の立案・新規事業の開発・M&A（企業買収・合併）のサポート・オペレーション改善などです。 基本的にはクライアント企業の経営層に向けて、上記の戦略に関するコンサルティングを行います。企業の行く末に影響を与えるため責任が大きく、相応の経験や知見が求められます。 また、戦略ファームの年収相場はコンサル業界の中でもトップクラスの水準といわれています。転職によるステップアップで給与水準の高い職種を目指したい方にもおすすめです。戦略コンサルとは？総合コンサルとの違いや仕事内容、やりがいを解説
【総合コンサルティングファーム】
総合系のコンサルは、戦略立案から実行支援まで一貫したサポートを行います。業務はITシステム導入・業務プロセス改善・人事戦略の立案などさまざまです。各分野のプロフェッショナルとされるコンサルが協力し、多様な領域の課題について総合的なコンサルティングサービスを提供します。そのため、企業規模が大きい傾向にある点も特徴です。【財務系コンサルティングファーム（FAS：Financial Advisory Services）】
財務系コンサルファームは、財務に関するアドバイザリーサービスを行います。主な業務は企業のM&A戦略・財務戦略・資金調達サポート・リスク管理・企業価値評価・M&Aのエグゼキューションサポート・PMI(Post M&Aのエグゼキューションサポート・PMI(Post Merger Integration)サポートなどです。。企業の財務担当者のみでは手に余るような場面で活躍し、財務に関する改善提案や戦略立案を実施します。ビジネスのグローバル化が進み、財務会計が複雑化している中で、今後も幅広い企業からノウハウを求められる存在といえるでしょう。財務コンサルティングへ転職するには？求められるスキル・経験・資格
【DX/ITコンサルティングファーム】
DX/ITコンサルは、企業のデジタルトランスフォーメーション（DX）に特化したサービスを提供します。主な業務はIT戦略の立案・システム導入支援・データ分析と活用・デジタル化推進などです。 システムエンジニアと混同されるケースもありますが、コンサルが手がけるのはシステム導入の決定や要件定義といったプロセスです。システム自体の構築を行うエンジニアとは領域が異なります。ITコンサルとは？種類別の仕事内容と仕事のやりがい、代表的な企業
【組織人事コンサルティングファーム】
組織・人事系コンサルは、企業の組織構造や人事制度などを改善するためのプロジェクトを推進します。主な業務は組織改革の支援・人材育成プログラムの設計・報酬制度の見直し・労働環境の改善などです。企業内部に変革をもたらし、組織の根本的な改善を図ります。近年では人的資本経営の推進や組織人事改革を推進する企業も多く見られるため、ニーズが高まっている業界といえます。
５．コンサルタントの仕事内容は役職や業界によってさまざま
コンサルの仕事内容は多岐にわたり、役職やコンサルファームによっても異なります。ただし、コンサルの仕事で根幹となる部分は変わりません。いずれの場合でも、クライアント企業の課題を解決するために尽力します。幅広い企業からのニーズに対応できるコンサルになれば、さらなるステップアップを目指せるでしょう。 コンサルの仕事に魅力を感じた方は、転職エージェントを活用しましょう。タイグロンパートナーズはコンサル・金融業界のハイクラス求人を中心に取り扱う転職エージェントです。各業界出身のコンサルタントが数多く在籍し、丁寧な面談を行った上で一人ひとりにベストな選択肢をご提案しています。選考が進んだ際は面接対策もしっかりとサポートいたします。まずはWebエントリーフォームよりお気軽にご相談ください。
